自営業者の被扶養者認定について

自営業者(個人事業主)とは

社会通念上、自営業者(個人事業主)の方は経済的に自立した存在であり、事業の売上や必要経費、経営状態などを含めてその事業の結果すべてに責任を負い、生活するために自分で事業経営することを選択した方となりますので、ご自身で国民健康保険に加入するのが基本です。

従って、事業経営者であるのに被保険者の支援がなければ生活ができないという場合は、事業内容や収入状況を十分に確認する必要があります。経営状態の悪化など、収入減少が一時的である場合は被扶養者として認められません。一時的ではなく、継続して被保険者の収入により生活の大半を維持されている方が認定の対象となります。

収入の算定

自営業者の収入を算定するに当たっては、給与所得者や年金受給者の場合は、生活に必要な経費控除が認められず、収入総額が対象になるのに対して、自営業者は所得税法上、売上から必要経費を控除することが認められています。
しかしながら、給与所得者や年金受給者との公平性を図るため、被扶養者認定において、収入総額から差し引く必要経費は、所得税法上で認められている必要経費と異なり、それなしでは事業が成り立たない経費(直接的必要経費)に限られます。
確定申告における所得金額がそのまま収入とみなされるわけではありません。
まず、事業開始するに当たっての初期費用等、明らかに次年以降は発生しないと判断される項目については、収入の算定に当たっての直接的必要経費と認められません。
原則として、収入および経費ともに、継続的に発生すると見込まれるものについてのみ算定します。
例えば、収入において退職金や相続財産等は一時所得と判断して収入に含めないと同様に、経費において初年のみに発生するもので次年以降(申請時点以降)は発生しないと判断されるものについては、一時的なものとみなして経費に含めません。

直接的必要経費とは

主として、製造業の原材料費や、卸小売業の仕入れ代や仕入れにかかる運送経費

直接的必要経費とは認められないもの

(表の見方)
△は、備考欄の条件を満たした場合に、直接的必要経費として認められる経費です。
×は、直接的必要経費として認められない経費です。

(注)
△の経費であって、備考欄の条件を満たす場合は、
「所得税青色申告決算書の損益計算書」を添付してください。

科目(所得税法) 控除の可否 備考
租税公課 ×  
接待交際費 ×  
広告宣伝費 ×  
損害保険料 ×  
消耗品費 ×  
福利厚生費 ×  
雑費 ×  
利子割引料 ×  
貸倒金 ×  
修繕費 ×  
減価償却費 × ※固定資産は取得時に備品等の経費として計上されており、毎年の減価償却においては現金の直接的支払を伴わないため経費として認められません。
給料賃金 × ※給料賃金が計上されている場合の取り扱い
給料賃金は直接的必要経費とは区別して取り扱うものとなります。
従業員の雇用があり、給料賃金(専従者給与を含む)の支出が認められる場合、社会通念上、申請家族は従業員に対してその社会的責任を果たす立場にあり、自らが被扶養者として援助を受ける立場になることが妥当であるとは判断致しかねることから、認定の対象となりません。
外注工賃
(給料賃金に該当する内容の場合)
※外注工賃が計上されている場合の取り扱い
外注工賃が給料賃金に相当する内容である場合は、給料賃金と同様に解釈します。
給料賃金に相当するとは、例えば、従業員を直接雇用せずに派遣委託しているようなケースで、その派遣委託費用が外注工賃として計上されている場合は給料賃金に相当するとみなし、認定の対象となりません。
ただし、事業内容により直接的必要経費として認められる可能性がある場合は、個別に判断することにします。
地代家賃 ※地代家賃が計上されている場合の取り扱い
住居と事業所所在地が同一の場合、事業使用割合で案分した額での計上であることが確認できた場合は全額経費と認めますが、確認できない場合は、案分割合50%で算定します。
住居と事業所所在地が同一でない場合、全額経費として認めます。
水道光熱費 ※水道光熱費が計上されている場合の取り扱い
住居と事業所所在地が同一の場合、事業使用割合で案分した額での計上であることが確認できた場合は全額経費と認めますが、確認できない場合は、案分割合50%で算定します。住居と事業所所在地が同一でない場合、全額経費として認めます。
ただし、事業所所在地がどちらの場合も、事業内容により直接的必要経費として認められた場合に限ります。
また、金額によっては個別に判断することにします。
通信費 ※通信費が計上されている場合の取り扱い
住居と事業所所在地が同一の場合、事業使用割合で案分した額での計上であることが確認できた場合は全額経費と認めますが、確認できない場合は、案分割合50%で算定します。
住居と事業所所在地が同一でない場合、全額経費として認めます。
ただし、事業所所在地がどちらの場合も、事業内容により直接的必要経費として認められた場合に限ります。
また、金額によっては個別に判断することにします。
旅費交通費 ※旅費交通費が計上されている場合の取り扱い
住居と事業所所在地が同一の場合、事業使用割合で案分した額での計上であることが確認できた場合は全額経費と認めますが、確認できない場合は、案分割合50%で算定します。
住居と事業所所在地が同一でない場合、住居から事業所所在地までにかかる額については経費と認めますが、確認できない場合は経費として認められません。
ただし、事業所所在地がどちらの場合も、事業内容により直接的必要経費として認められた場合に限ります。
荷造運賃 ※事業内容により直接的必要経費として認められた場合に限り、全額経費と認めます。
青色申告特別控除及び専従者給与控除、医療費控除を始めとする各種控除 × ※給与所得者における配偶者控除等と同様に現金の直接的支払を伴わない税法上の控除額は経費として認められません。
退職引当金 × ※退職金は支払時点の現金支出が直接的必要経費であり、退職金支払いに備えた引当段階では、資産計上の勘定科目を変えただけで現金の直接的支払がないため、経費として認められません。

収入を証明するために提出が必要となる書類

・「所得税の確定申告書」及び「所得税青色申告決算書」の写し(税務署に提出し受付印のある書類)

「確定申告書」に加えて、直接的支払経費を特定するために、経費の内訳が確認できる「所得税青色申告決算書の損益計算書」又は「白色申告の収支内訳書」を提出していただきます。
*経費内訳に係る書類の提出がない場合は、認定の可否について適切な判断ができませんので、申請自体を受付することはできません。書類不備として一旦申請書類を返却することになります。